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FAQ集

治験関連文書中の薬物動態パラメータt1/2をT1/2と表示してもよいか?
国際単位系(SI Units)に基づく日本の計量法では時間(time)を表す量記号は小文字のティー(t)で表すことと定められています。大文字の T はというと温度(temperature)の量記号として規定されています。もうお分かりのように半減期を意味したいのであればt1/2と書くべきで大文字の T を使用してはいけません。量記号は斜体(イタリック体)で表示するのが決まりです。添字は上付きまたは下付きで物理量(圧力p など)は斜体、その他の場合は直立体(ローマン体)とされています。ちなみに単位記号は直立体(ローマン体)で表記します。細かいことですが量記号は正しく表記しましょう。
 従いまして、CmaxおよびtmaxのC、t は国際単位系の量記号表記規定に則り斜体Ctに、また添え字(max)は下付き(max)にして下さい。
スクリーニング検査で基準値を逸脱した症例を被験者に組み入れた理由を教えて下さい。
基準値(範囲)とは集団の正常値であり、健康者群の測定値の約95%が含まれる範囲(平均値±標準偏差の2倍の範囲)と定義されています。つまり、健康人の5%は基準範囲外の値を示すことになります。したがって、基準範囲から検査値が外れたからといって直ちに異常であるとの判断はできません(逆に検査値が基準範囲内に入っているからといって被験者が健康であると即断できません)。
なお、スクリーニング検査で互いに関連の無いn項目を検査した場合、全項目が正常となる確率は0.95nであります。ある健康人に対して互いに関連の無い20項目の検査を実施した場合、全ての項目が基準範囲内の値となる確率は0.4以下となってしまいます。
アレルギー既往歴のある被験者を除外基準に入れる必要はありませんか?
文部省所管の「財団法人日本学校保健会」が平成4-6年度の3年間、全国13都県、計55校の小・中・高校の児童・生徒2万6545人を対象に行った「児童生徒の健康状態サーベイランス調査」によると過去に何らかのアレルギーと診断された経験をもつ児童・生徒は約4割、アレルギー性鼻炎と診断された経験のある高校生男子は66%に達しています。
 千葉大学医学部耳鼻咽喉科の寺田らの調査では小中学生のダニ感作率は11歳で37.8%、15歳で64.7%と極めて高率です。
 これらの調査結果から当該治験の対象集団である日本人健康成人男子(20-30歳)においてアレルギーの種類、重篤度等を考慮せずに何らかのアレルギーの既往を有する被験者をすべて除外した場合、選択された被験者は日本人健康成人男子という母集団を代表しない特異な集団となること、および現実問題として必要被験者確保がほとんど不可能であることは明らかであります。
 また、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎等の軽症アレルギーの既往を有する健康人と既往を持たない健康人との間で薬物アレルギーの発生頻度、重症度において差があるとは考えられていません。
 既往の有無が薬物動態の成績に差を生み出すとは考えにくく、この意味からも軽症アレルギーの既往を有する健康成人男子を除外する必然性はないと判断しています。

【事例】
被験者番号○(○○)
喘息の既往はありますが薬物による症状誘発、悪化の既往はなく、薬物アレルギーによるものではありません。
被験者番号○(○○)
ジンマシンの既往はありますが薬物による症状誘発、悪化の既往はなく、薬物アレルギーによるものではありません。
被験者番号○(○○)
アレルギー性鼻炎の既往はありますが薬物による症状誘発、悪化の既往はなく、薬物アレルギーによるものではありません。日本人におけるアレルギー性鼻炎の原因抗原のほとんどはハウスダストもしくは花粉なのでどちらかと推測されますがどちらかは特定されていません。
被験者番号○(○○)
アレルギー性結膜炎の既往はありますが薬物による症状誘発、悪化の既往はなく、薬物アレルギーによるものではありません。日本人におけるアレルギー性結膜炎の原因抗原の約70%は花粉、残りの大部分はハウスダストなのでどちらかと推測されますがどちらかは特定されていません。
上記4件とも非薬剤性の事象であり、組み入れには問題なしと判断しました。

投与前に排便を義務付けたいのですが?
排尿と異なり排便を随意的にコントロールすることは非常に困難です。特定のタイムポイントで排便の義務付けをした場合、逸脱例が大量に出る事は明らかです。以上の理由で投与前の排便義務付けは困難と判断します。しかし、可能な限り排便を促す等の表現であれば治験実施計画書への記載は可能と考えます。
第I相臨床試験において自己記入質問紙法を避けるべき理由を教えて下さい。
以下は1997年11月に幸良会理事永田が行った製薬協での講演用原稿の一部です。

第Ⅰ相臨床試験で認められる有害事象について

①副作用の多くは非投薬時(又はプラセボ投与時)の健常人でもかなりの頻度で生じ得る(つまりバックグランドノイズが大きい)事象である。このため副作用とそれ以外の有害事象との分離のために膨大な被験者数が必要となる。例外的な場合を除き、第Ⅰ相での副作用の特定は極めて困難。
②副作用は被験薬の薬理学的、毒性学的特徴より予測可能なもの(Type A)と予測不可能なもの(Type B)とに大別される。予測可能性の有無により検出方法が異なる。
③副作用の検出方法は以下の四つに分類される。
1.被験者本人による自発的報告:すべての有害事象が対象。
2.自己記入質問紙法:項目が限定されるため主として予測可能な副作用が対象。対象項目に対する感度は上がるが特異性は減少する。
3.被験者以外(医師、看護婦等)の記入による質問紙法:項目が限定されるため主として予測可能な副作用が対象。対象項目に対する感度は上がるが特異性は減少する。
4.単一で標準化された質問:「なにか変わったことはありますか」等の非誘導的質問を行う。すべての有害事象が対象。
第Ⅰ相実施時点ではType A(予測可能)副作用に関する情報が乏しく、被験薬特異的な質問項目セットを組むのが困難であるため質問紙法を用いた場合、項目以外の副作用を見落とす危険がある。このため、項目を限定しない方法(1.および4.)の採用が多い。
 本治験で用いる精神身体症状調査表は③の2.に当たります。
このタイプの調査法は上に述べたように、
 1) 感度が高く特異性が低い、すなわち非常に偽陽性率が高い。
 2) 被験薬特異的な質問項目セットを組むのが困難であるため項目以外の副作用を見落とす危険がある、つまり項目以外の副作用についてはかえって感度が低下する危険がある。
 3) 被験者本人に記載させるため非常に誤記が多い。
 といった欠点があり結果の解釈に非常に注意を要します。
以上の理由で新規化合物の第I相試験では基本的に避けるべき調査法と判断しています。
 敢えて用いる場合には、精神身体症状調査表の陽性項目イコール有害事象とはせずにあくまで診察のための参考資料とし、診察にて医師が最終的に有害事象か否かの判定を行うことを説明、ご了解頂いただいております。
 具体的には、投与前より存在し、被験者本人が日常生活においてよく経験しており、程度が投与前後で大きく変化しなかったことが診察にて確認できた症状および診察にて症状の存在を確認できなかった場合(誤記)については基本的に有害事象として取り扱っておりません。

尿沈さ中の塩類について教えてください。
尿酸塩、リン酸塩、蓚酸塩は多量に出現している時のみ結石症との関連で臨床的意義を有します。(+)所見単独では臨床的意義はありません。
被験者を各ステップに対して無作為割り付けすることが困難と聞いていますが?
単回投与試験で前ステップにおける安全性確認後に次ステップに移行する場合、被験者を各ステップに対して無作為割り付けすることは困難で、通常は各ステップ毎に無作為割り付け(実薬群、プラセボ群)を実施しています。これは
①初回ステップのスクリーニング期間とそれ以降のステップのスクリーニング期間は一部しか重ならない、特に後半のステップは全く重ならない、すなわち、応募者全員に対して共通のスクリーニング期間内にスクリーニングを実施し、被験者としての適格性を判定した上で適格と判定された者を各ステップに対して無作為割り付けすることは物理的に不可能である、
②被験者は特定のステップへの参加(日程)を希望して応募してくるのでありこちらで参加ステップを指定することは現実問題として極めて困難、
の2つの理由からです。
ホルター心電図を用いた検査で不整脈がみられた被験者がいるが?
ホルター心電図検査を健常人を対象として実施した場合、大部分の症例で何らかの不整脈が認められます。当該症例で記録された不整脈は健常人でも生じ得るものであること、他に心疾患の存在を示唆する所見を認めないことより被験者としての適格性に問題はないと判断しました。
体温の参考値範囲の上限について教えて下さい。
入來らは10-50歳の健常成人3094名における腋窩温を測定し平均36.89℃、標準偏差0.34℃との結果を報告しています。この結果より算出した値(平均+2標準偏差=37.57℃=約37.5℃)を参考値上限としています。
治験実施計画書の尿定性反応に記載のなかった潜血において有害事象が報告された経緯を教えてください。
治験実施計画書には尿検査として蛋白、糖及びウロビリノーゲンを実施することが規定されていました。しかし、当院で使用している尿定性反応測定システム(尿定性反応試験紙:ユリフレット[8A]、検査機器:Mini Aution MA-4240、共に株式会社京都第一科学製)ではこれらの項目のほかに潜血も自動的に実施、報告されます。そのため被験者番号○○(○○)での潜血反応異常(+2)が治験担当医師により認識され、有害事象として報告されました。なお、本治験において○○またはプラセボを投与された被験者で他に潜血反応異常を示した被験者はいませんでした。
血圧、脈拍数変動の評価基準について教えて下さい。
当該規定(臥位で測定した血圧および脈拍数について、投与前値からの収縮期血圧±20mmHg、拡張期血圧±15mmHg、脈拍±20%以上の変化を一覧表にする)における数値は1日(24時間)における血圧、脈拍の平均値もしくは中央値をベースライン値とした場合には健常人における生理的変動範囲にほぼ一致するものと考えられます(別紙参考文献参照)。しかし、単純に投与前値をベースライン値とすることの妥当性は見出せず、当該規定に則って一覧表に記載された値が即ち生理的変動範囲からの逸脱値(異常値)と機械的に判定するのは困難です。当該一覧表は安全性評価における参考データとし、最終評価は治験責任医師及び依頼者側医学専門家が個々の症例毎に行う形にしたらいかがでしょうか。

参考文献 )
C.Lentner, Heart and Circulation, Geigy Scientific Tables 5, 10, CIBA-GEIGY Limited, Basel, 1990
C.Lentner, Heart and Circulation, Geigy Scientific Tables 5, 26, CIBA-GEIGY Limited, Basel, 1990

BMIの基準範囲及び設定根拠について教えてください。
当院での被験者のBMIの基準範囲は、
健康日本人成人男性: 18.5 kg/m2以上25.0 kg/m2未満
健康白人成人男性: 18.5 kg/m2以上30.0 kg/m2未満
とさせて頂いております。
設定の根拠と致しましては、
「日本肥満学会肥満症診断基準検討委員会」の基準では「25.0 kg/m2以上」、世界保健機関並びに米国国立衛生研究所の肥満症診断基準では「30.0 kg/m2以上」を肥満症に分類しております。
また、両基準とも「18.5 kg/m2未満」を低体重と分類していることから、極端な肥満やるい痩を除外して、日本人と白人の標準的な体格を持つ被験者を選択するためにそれぞれ別に設定させて頂いております。
白人を選ぶ際の白人の定義を教えて下さい。
人種とは肌や虹彩の色、髪質、体格などの身体的特徴により人類を分類する概念です。したがって、人種としての白人(Caucasian)を定義しようとすれば「皮膚は明色または褐色、毛髪は湾曲毛または波状毛、一般に狭い鼻を持つ」というような身体的特徴を列記するしか方法がありません。しかし、白人の中にさらにいくつもの系統が存在するといわれており、白人に共通する身体的特徴を列記すること自体困難です。また一般的に用いられている人種分類(黒人種、白人種、黄色人種)を考慮した場合、身体的特徴を列記するまでもなく特定の被験者がどの人種に属するかは目視で容易に確認ができることからプロトコルにおいて身体的特徴を基に白人を定義する意味は薄いと考えます。私共が以前実施した白人対象臨床試験におきましては、現実的な定義として、両親ともに白人であることを白人の条件と致しました。従いまして、我々の考え方としての白人の定義は「両親ともに白人である者」とさせて頂くことを提案致します。
高齢者選択基準(血圧)について教えて下さい。
平成11年国民栄養調査(最低・最高血圧の分布(性・年齢階級別))では60-69歳男性における最高血圧140mmHg以上の方の割合は52.9%、70歳以上男性における最高血圧140mmHg以上の方の割合は59.4%、60-69歳女性における最高血圧140mmHg以上の方の割合は47.3%、70歳以上女性における最高血圧140mmHg以上の方の割合は58.1%であることが示されています。
 この結果より、65歳以上の高齢者において最高血圧140mmHg未満の選択基準を設けた場合、この基準のみにより半数以上の高齢者が不適となり、被験者募集が非常に困難となることが予想されます。選択された被験者は血圧値からは特殊な集団となり、わが国の高齢者を代表していると言えるのかという疑問が生じる可能性もあります。
 同報告から、60-69歳男性における最高血圧160mmHg以上の方の割合は17.6%、70歳以上男性における最高血圧160mmHg以上の方の割合は18.8%、60-69歳女性における最高血圧160mmHg以上の方の割合は12.2%、70歳以上女性における最高血圧160mmHg以上の方の割合は16.8%であり、最高血圧160mmHg未満の選択基準とした場合には、被験者の募集可能性、代表性における問題は回避できると判断しております。
高齢者採血量について教えて下さい。
80-85歳の高齢者において本試験における採血量を忍容し得るかとどうかは、個々の被験者ごとに判断するしかありません。暦年齢と生物学的年齢とは必ずしも一致しません。特に高齢者では暦年齢と生物学的年齢との一致の度合いにおいて個人間に大きなばらつきがあり、暦年齢だけから特定の採血量を許容できるか否かを決定することは困難です。
 一般的に、成人においては1度に循環血液量の10%までの失血(採血、出血等)であれば健康上大きな問題は生じないと言われています。体重60kgの方の循環血液量(体重の約7%と仮定)は4.2L程度と予想され、日本における献血量上限(400mL)とほぼ一致します。400mL採血後のヘモグロビン低下の程度は1g/dL程度とされています。臨床薬理学試験においては通常、総量200-400mL程度の採血を実施しますが、1度にこの量を採血するわけではありません。2-4週間程度の期間内に15回‐20回程度に分けて採血を行います。したがって、健康上の影響は献血において同量の血液を採取される場合よりもむしろ少ないと推測されます。
 以上の考察および過去10年間にわたり高齢者対象試験を実施してきた私の経験から、健康状態が良好であり、極端な低体重者でなければ80歳以上の被験者であっても十分今回の試験における採血量を忍容できると判断しております。
内分泌学的検査・ACTH及びコルチゾールのスクリーニングのデータが入院後のデータに比べて高く出る傾向にあるのは、なぜ?
肉体的、精神的なストレスにより上昇する項目であるため、入院・安静により低下する傾向があります。
プロトロンビン時間の測定の報告値として、秒、活性%、比、INRなどがあるようですが、どのように違うのでしょうか?
最近まで、プロトロンビン時間の報告は実際の凝固時間(絶対値・秒)で報告されてきましたが、試薬間差、ロット間差、機器間差が見られ、データを施設間で比較できませんでした。現在では、相対的にデータをみることができる、比率(患者血漿での凝固時間/正常コントロール血漿の凝固時間)、活性%(正常血漿を測定して得られた希釈曲線の13秒を100%として活性値として算出したもの)、INR((実測値/標準時間)ISI値・ISI値は試薬及び機器の乗数)の報告形式が多く使用されるようになっています。
IRB/SOP(委員の定義)について教えてください。
GCP上、どのような人を委員に選定すべきかの規定がほとんどないのは、規定することが非常に難しいからです。
GCPは、倫理的、科学的に妥当な臨床試験を実施するために遵守しなければならない最低限の基準を示したものです。そのために、治験審査委員会という第3者的立場で臨床試験の倫理的、科学的妥当性を審議する委員会の設置が求められています。極論すれば、GCP上求められている治験審査委員の要件は、「第3者的立場で臨床試験の倫理的、科学的妥当性を審議できる人」だけです。
 この要件を分解すれば、
  ①第3者性
  ②倫理的妥当性の審議能力
  ③科学的妥当性の審議能力
の3つになります。
 ①については、治験責任医師、治験分担医師など審議対象試験の当事者は委員になれない等、常識で考えれば誰でもわかることが第3者性の条件としてGCPにも示されています。しかし、これにしても、「こういう人は第3者性に問題があるので委員にはなれない」というネガティブ・リスト方式であり、「こういう人が第3者性に優れた人であり委員としてふさわしい」という基準を示したものではありません。
 ②、③については判定基準は全く示されていません。ひとつの理由は、①は委員として絶対満たしていなくてはいけない要件ですが、②、③については両方とも優れている人は実際上、極めて稀だからです。
 海外のGCPでは、特定の学問領域の専門家ではない、「普通の人」を委員として含めなくてはならないと規定されているものがあります。
 これは、③があまりに優れている人はともすれば、②に関して普通の人の感覚とかけ離れた感覚を有しがちだからです。「普通の人」は、②については十分な能力はあるかもしれませんが、③についてはほとんど審議能力はないでしょう。治験審査委員会の成立要件に5人以上の委員の出席や、医学、薬学領域の非専門家の出席が規定されているのは、一人で②、③とも優れた能力を有している人はいないという前提に立っているからです。
 そんな神様のような能力の持ち主はいないから、各委員が知恵を出し合って審議をしましょう、意見が片寄らないように医学、薬学領域の非専門家をいれましょう、ということです。
 GCPの規定自体が委員の不均一性をむしろ前提としている以上、特定の人が委員にふさわしいかどうかの画一的な判断基準を作ることは非常に困難です。画一的な基準を作ってしまった場合、委員の均質化が進み同じような考えの人ばかりになって、意見が片寄り、かえってGCPの規定にそぐわなくなる危険があります。GCP上の規定に加える形で、あえて、「こういう人が委員である」との規定をSOPに加える必要はないと判断します。

電話でのお問い合わせ TEL 099-259-5243 月-金 9:00~17:00

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